TOP > 税制改正分野 > 2.事業承継税制、相続・贈与税の改正
2.事業承継税制、相続・贈与税の改正
(1) 遺留分に関する民法の特例
一定の手続を経て次の2つの民法上の特例があります。
-
贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる。
-
贈与株式等の評価額を予め固定化できる。
中小企業経営承継円滑化法の施行に伴い、一定の要件を満たす中小企業者の後継者は、「旧代表者」(注)から贈与された自社の株式等について、旧代表者の推定相続人全員の合意に基づき、遺留分の算定に係る合意を行ったならば、所要の手続きを経ることを前提に、上記の特例を受けることができるようになります。
(注)現在代表者である者を含みます。
※ 中小企業経営承継円滑化法は、平成20年10月1日から施行予定です。ただし、遺留分に関する民法の特例の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において施行される予定です。
(2) 経営承継のための金融支援措置
中小企業の経営承継の総合的な支援策としての中小企業経営承継円滑化法の施行により、事業承継に際しての資金に係る次のような融資制度が創設・拡充されます。
-
会社による自社株式等の取得に係る制度融資の創設
-
後継者個人による経営権安定化のための制度融資の創設
-
M&A支援に関する制度融資の拡充
(3) 取引相場のない株式等に係る納税猶予制度の創設
-
事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得しその会社を経営していく場合には、その事業承継相続人(注2)が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(注1)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予される予定です(注3)。
-
納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとした場合の相続税額から、その株式等の金額の20%相当の金額の株式等のみを相続するとした場合の相続税額を控除した額を猶予税額とする予定です。
-
その事業承継相続人が納税猶予の対象となった株式等を死亡時まで保有し続けた場合等の一定の場合には、猶予税額が免除される予定です。
-
その事業承継相続人が、相続税の法定申告期限から5年の間に、代表者でなくなる等により、中小企業経営承継円滑化法に基づき経済産業大臣の認定が取り消された場合等には、猶予税額の全額を納付しなければならなくなる予定です。
(注1)相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分です。
(注2)「事業承継相続人」とは、中小企業経営承継円滑化法における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者の中で筆頭株主である後継者をいいます。
(注3)会社を経営していた被相続人は、その会社の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、その同族関係者(事業承継相続人を除きます。)の中で筆頭株主であったことを要します。
(4) 遺産取得課税方式の検討
現行の「法定相続分課税方式」は、課税財産の総額から基礎控除を引いた金額を実際に分割した財産とは関わりなく、法定相続人が法定相続分で相続したものとして超過累進税率を乗じ、各人ごとの相続税額を計算し、これを合計した金額が相続税の総額となります。
現在検討されている「遺産取得課税方式」は、相続人各人が実際に取得した財産の合計額に対して税率を乗じ、それぞれの税額計算をすることになります。相続税の計算方法の動向をしっかり踏まえながら、相続税の納税対策について再検討をする必要がおきてきます。
(5) 取引相場のない株式等における営業権等の評価通達の改正
取引相場のない株式等を適正に評価するため、純資産価額方式により評価する場合に計上される営業権の評価について、企業者報酬及び純資産価額に乗じる利率等の見直しが行われました。